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紡ぎかけた物語
この世界観で何かを書き続けようとしたら、
頭おかしくなってしまいそうで書き続けられなくなっちゃった
特に当てもない物語だったので、まぁいいかな
―――――――――――――――――――――――――

目に見えるものは全て手が届くと思っていた。
比喩ではない。事実を述べているのだ。
片目を瞑る、手を伸ばす。
…ほら掴めた。


水に絵を描こうと思った。
水面に落とした絵の具は、ちららつららりと、水中に絵を描いた。
しかし、水は流動している。描いた絵もすぐに消えた。
水底に落ちて絵の具は、花を咲かせた。


秋の空高く、広いキャンバスに、乾いた刷毛で描いたような雲が映える。
平日の昼下がり、公園には若い母子が目立つ。そのほとんどが銀杏並木に目を細めながら、ようやく涼しくなった秋の日を楽しんでいた。
麟太郎は銀杏並木の下で、銀杏の葉を拾い集めていた。一枚一枚丁寧に重ねながら、銀杏の扇を作っていた。
いくら拾っても、地面を覆う銀杏は尽きない。麟太郎の扇は大きくなる一途である。
ふいに風が吹いた。
公園の銀杏の葉は舞い上がると、大人の背丈ぐらいのところで動きを止めた。
麟太郎は半身になって身構える。

「突撃!」
そう言わんばかりの勢いで、舞い上がった銀杏の葉たちが麟太郎めがけて飛んできた。
少し厚みのある葉の勢いは、効果音をつけるならば「ずばばばば」といったところか。
麟太郎は手でそれを防ぐこともせず、ただ目を閉じて立ち尽くし、その攻勢に耐えた。そして猛攻の中薄く片目を開けて、銀杏の群れのその先を見晴らそうとした。

すると、金色の襲来の遥か向こう側に、人影が見えた。
人影は口元に笑みを浮かべながら、こっちへゆっくりと近づいてくる。

麟太郎はおもむろに右手を伸ばし、迫り来る銀杏から一枚を掴み、それを人影に重ね合わせた。ちょうど人影の首から下に、ワンピースのように銀杏の三角形が重なったところで、麟太郎は手を離す。
そのまま人影は、銀杏のワンピースを纏ってこっちへ向かって来る。

ようやく顔が見えた。由夏だ。

由夏の顔を判別すると同時に、銀杏の攻撃も止んだ。麟太郎はゆっくりと両目を開く。
「由夏」というその少女に与えられた符号を、昔の麟太郎は理解できなかった。「由夏」という字面は麟太郎には、夏の季語だとしか思われなかったのだ。
そのため、今でも麟太郎は、由夏のことをつい「ユカ」と片仮名で認識する。
「由夏」と「ユカ」では圧倒的に違うのだと理解しながらも、それはもはや癖だった。

「麟太郎。銀杏の扇だね。」
銀杏のワンピースをひらひらさせながら、由夏が軽やかに話す。大きな栗色の瞳が、興味深そうに麟太郎に向けられる。
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【2011/10/19 21:16 】 | 未分類 | コメント(0) | トラックバック(0) | page top↑
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